税金マメ知識
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不動産取引に関する税金

これから不動産取引をするにあたりどのような税金がかかるのか、あらかじめ見通しを立てておくことは重要です。
しかし、不動産に関する税金は数多く制度自体も非常に複雑かつ難解です。
そこで、不動産取引を「不動産を取得するとき」、「不動産を保有しているとき」、「不動産を売却するとき」「不動産を贈与するとき」という4つの場面に分けて、それぞれの場面で課税される税金を簡単に解説します。
もし、不動産取引に関する税金でご不明なことがあれば、まずは私共にお気軽にご相談ください。

なお、不動産取引に関する税金は、税負担を軽減するための特例が多く、しかも毎年のように改正がありますので、不動産業に従事する私共であっても、完全に精通することが難しくなってきました。
そのため、ほかに有利な税制がないか、高額な税金が課税される可能性がないか、といったご不安がある場合には、ご自身で税理士や税務署に問い合わせて、しっかり検証されることをおすすめします。

取引にかかる税金
保有にかかる税金
売却にかかる税金
贈与にかかる税金

取引にかかる税金

不動産取得税
詳 細
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不動産取得税とは
不動産を売買や贈与で取得したときにかかる税金(都道府県が課税する地方税)です。
売買とは、代金を払って買うこと、贈与とは無償でもらうことを指します。つまり、不動産を取得することに対して課税されるので、既存の不動産を売買・贈与した場合だけでなく、建物を「新築」した場合や「増築」した場合にも不動産取得税が課税されます。
2
税額の計算方法
不動産取得税は、以下の計算式によって算出されます。
税額 = 課税標準額 × 3%(税率)(※)
※税率は取得の時期により下記のとおり適用されます。
税率は取得の時期により下記のとおり適用されます。
不動産の取得の時期
土 地
住宅用の家屋
住宅用以外の家屋
平成20年4月1日から
令和9年3月31日まで
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3
4
課税標準額は固定資産税評価額になります。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める基準となる評価額のことで、不動産の売買代金のことではありません。固定資産税評価額について詳しくは固定資産税の項を参照してください。
ただし、不動産取得税については、さまざまな軽減措置(税率を下げる、固定資産評価額から一定額を減額するなど)がありますので、通常は上記の計算方法よりも低い金額となります。
軽減措置は頻繁に改正されますので、ご不明な点がありましたらスタッフにお問い合わせください。
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不動産取得税の納税方法
ご自身で申告等をする必要はありません。
不動産を取得してから6ヶ月〜1年半後くらいに、各都道府県から「納税通知書」が届きますので、その通知書を使って金融機関で納付してください。
詳しくは参照元の「愛知県税務課サイトhttps://www.pref.aichi.jp/soshiki/zeimu/0000019347.html」をご参考ください。
贈与税
詳 細
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贈与税とは
財産を無償で譲り受けることを法律用語で「贈与」といいます。
贈与税とは、贈与によって財産を「受け取った人」に課税される税金です。
たとえば、土地や建物などの不動産、車などを無償で譲り受ける場合がこれにあたります。
現物の財産を贈与してもらう場合だけでなく、不動産の購入資金として親から金銭の援助を受ける場合も贈与になります。さらには借金を免除してもらうような場合も贈与にあたります。
無償でなければ贈与にならないかというと、必ずしもそうとは限りません。たとえば、その財産の適正価格に比べて著しく低額で取引したような場合には、適正価格との差額部分が贈与にあたると判断される場合があります。
2
税額の計算方法
贈与税は、以下の計算式によって算出されます。
贈与税 = (贈与財産価額-基礎控除110万円) × 税率 - 控除額
贈与税には110万円の基礎控除があり、1年間の贈与額が110万円以内であれば申告不要となりますが、夫婦間贈与の特例や相続時精算課税の特例など、一定額まで贈与税が非課税となる特例もあります。
贈与税については、毎年のように特例や軽減措置が公表されていますので、ご不明な点がありましたらスタッフにお問い合わせください。
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贈与税の納付方法
毎年1月1日から12月31日までの1年間の贈与財産の合計額に対する贈与税を税務署に申告し、翌年2月1日から3月15日までの期間に納税します。
登録免許税
詳 細
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登録免許税とは
土地・建物を購入したり、建物を建築したときは、現在の不動産の所有者が誰であるか等の情報を法務局に登記します。この不動産登記にかかる税金が登録免許税です。一口に不動産登記といってもさまざまな種類の登記があります。
表題登記
建物の新築工事が完了して、建物が完成したときにする、建物の所在地番、構造、床面積などの登記を表題登記といいます。
所有権保存登記
建物が完成したときに、誰が所有者であるかを記録する最初の登記が所有権保存登記です。所有者の住所・氏名の他、新築の日付け等が記載されます。
所有権移転登記
不動産を売買すると所有権が売主から買主へ移転します。
この所有権移転の事実を登記したものが所有権移転登記です。 所有権移転の登記をすると、買主は第三者に対して自分に所有権があることを主張できるようになります。
抵当権設定登記
金融機関で住宅ローンを借りた場合、金融機関は不動産に抵当権設定登記をします。万一、住宅ローンが返済されなくなった場合、抵当権を設定した金融機関は、不動産を競売してその売却代金から優先して弁済を受けることができます。この権利を設定したことを明らかにするのが「抵当権設定登記」です。
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税額の計算方法
登録免許税は、以下の計算式によって算出されます。
登録免許税 = 課税標準 × 税率
課税標準とは、通常は固定資産税評価額を指します。固定資産税評価額とは、固定資産税を決める基準となる評価額のことで、不動産の売買代金ではありません。固定資産税評価額について詳しくは固定資産税の項を参照してください。
また、税率は登記の種類ごとに異なり、それぞれ軽減措置(税率を下げる)があります。ご不明な点がありましたらスタッフにお問い合わせください。
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登録免許税の納付方法
不動産登記は、登記の専門家である司法書士に依頼して行うのが通常です。
司法書士の報酬と一緒に登録免許税も請求され、司法書士が納付します。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm」をご参考ください。
印紙税
詳 細
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印紙税とは
印紙税法には、印紙税がかかる「課税文書」があらかじめ指定されており、課税文書に該当する書類を作成した場合には、印紙税が課税されます。
たとえば、不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書、賃貸借契約書(土地の賃貸借の場合)、住宅ローン借入れのための金銭消費貸借契約書などが課税文書に該当しますので、印紙税がかかります。
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税額の計算方法
印紙税法は、文書の種類ごとに第1号文書~第20号文書に分類し、あらかじめ「印紙税額一覧表」で印紙税額を定めています。
(出典)国税庁ウェブサイト 印紙税額一覧表
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran_r0204.pdf」をご参考ください。
たとえば、不動産売買契約書は「第1号文書」に分類され、売買金額が500万円~1,000万円未満の場合は印紙代1万円、1,000万円~5,000万円未満の場合は印紙代が2万円と定められています。住宅ローン借入れ時に作成する金銭消費貸借契約書も「第1号文書」です。 印紙税にも軽減措置があり、現在、不動産売買契約の印紙代は、印紙税額一覧表の半額に軽減されています。
なお、建物の賃貸借契約書は第1号文書~第20号文書のいずれにも該当しません。
つまり「非課税文書」という扱いですので印紙は不要です。
3
印紙税の納付方法
印紙税は金銭で納付するのではなく、規定の収入印紙を契約書に貼り、それを消印することによって納税となります。
また、印紙税は作成した文書の数だけ課税されるため、同じ契約書を2通作成した場合には(売主と買主)、それぞれに印紙を貼らなければなりません。
消費税
詳 細
1
消費税とは
課税事業者が行った国内取引(国内で対価を得て行われる資産の譲渡・貸付ならびに役務の提供)に課税されます。
つまり、消費税が課税されるのは、課税事業者との取引ですので、一般個人が売主としてマイホームを売却する場合には、消費税は課税されません。
また、課税事業者が土地・建物を売却する場合でも、消費税が課税されるのは建物の部分だけであり、土地には消費税は課税されません(土地売買は資産の「移転」であり、土地は消費されないからだとされています)。
2
税額の計算方法
消費税は、以下の計算式によって算出されます。
消費税 = 課税標準 × 10%
ご存じのとおり現在の税率は10%ですが、10%のうち2.2%は地方消費税です。
1989年に税率3%でスタートし、その後、5%(1997年)、8%(2014年)と徐々に増税され、2019年からは10%(軽減税率となるものを除く)となっています。
不動産に関する取引のうち、下記のものは非課税取引(消費税が課税されない)とされています。
①土地の購入代金
②住宅ローンの返済利息・保証料
③火災保険料・生命保険料
④地代・家賃(居住用)
⑤保証金・敷金
住宅ローン減税①
(住宅ローンの税額控除)
詳 細
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。
毎年末の「住宅ローン残高」または「住宅の取得対価」のうち、いずれか少ない方の金額の0.7%が最大13年間にわたって所得税の額から控除されます。
たとえば、住宅を取得した年の年末時点で住宅ローンの残高が4,000万円だった場合、その0.7%にあたる「28万円」が所得税からの控除限度額となります。 また、翌年の年末時点の残高が3,900万円だった場合、その0.7%の27.3万円が控除限度額となります。返済が進めば住宅ローンの残高も減るため、これに合わせて控除額も徐々に減っていくことになります。
なお、所得税から控除しきれない場合には、さらに住民税からも一部控除されます。
「住宅ローン」減税ですので、具体的には下記の金融機関等からの借入であることが必要です。
①銀行
②住宅金融支援機構
③信用金庫・信用組合・農協
④各種公務員共済組合
⑤地方公共団体
⑥勤務先(年利0.2%以上のもの) など
住宅ローン減税は、新築住宅を取得した場合だけでなく、中古住宅も対象となります。さらに、自宅を増築した場合や一定規模以上の修繕・模様替え、省エネ・バリアフリー改修なども100万円以上の工事費の場合は、住宅ローン減税の対象となります。
住宅ローン減税は毎年のように改正があり、取得する住宅によっていくつかのパターンがあります。適用条件などもさまざまですので、詳しくはスタッフにお問い合わせください。
住宅ローン減税②
(適用要件)
詳 細
1
所得税から控除される額
控除額は以下の計算式によって算出します。
控除額 = 年末ローン残高 × 控除率(0.7%)
上記の税額控除が原則として13年間続きます。
新築住宅・買取再販の場合で、長期優良住宅・低酸素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の場合は13年間控除可能です。上記基準を満たさない住宅については、住宅ローン控除適用不可になります。
なお、年末ローン残高には上限がありますが、一般住宅、長期優良住宅、認定低炭素住宅など、住宅の種類によって上限残高に違いがあります(2,000万円~5,000万円 ※令和7年以降は上限4,500万円まで)。
2
適用対象となる住宅
戸建て住宅でも、マンションでも適用対象ですが、その面積や使用方法には条件があります。
①新築住宅の場合、令和6年末までに建築確認:40m²(所得要件:1000万円)
②床面積のうち50%以上は居住用であること
③マンション等耐火建築物は25年以内、木造等耐火建築物以外は20年以内に建築されたものであること。
ただし、この年数を超えていても、その住宅が、新耐震基準に適合していることが証明されたものや既存住宅売買瑕疵保険に加入しているなど、一定の条件を満たす場合には対象となる場合があります。
3
入居時期の制限
取得後6ヶ月以内に入居、入居後引き続き住んでいること。
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その年の所得合計
2,000万円以下であること。
仮にこれらの条件を満たしていても、その他の特例とは併用できない等の条件があり、先にそれらの特例を使っていた場合には、住宅ローン減税を使えない場合があるので注意が必要です。
住宅ローン減税③
(申告)
詳 細
1
住宅ローン減税を受ける方法
住宅ローン減税の適用を受けるためには、入居した年の収入についての申告を行う際(つまり翌年の確定申告時)に、税務署に必要書類を提出します。 例年2月15日ころから3月15日ころが確定申告の期間です。
なお、給与所得者の場合には、2年目から勤め先にローンの残高証明書を提出することで、年末調整で控除を受けられるため、確定申告する必要がなくなります。
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確定申告時に必要な資料
確定申告に必要となる資料のうち主なものは下記のとおりです。
申告の内容によって必要書類が異なりますので、詳しくは国税庁のHPなどで確認してください。
借入金年末残高証明書(金融機関が発行してくれます)
登記事項証明書(法務局で入手します)
売買契約書・請負契約書等
源泉徴収票
2024年・2025年に新築住宅に入居する場合、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などそれぞれに該当する書類
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確定申告の方法
確定申告書は国税庁のHPで、画面の案内に従って金額等を入力することで確定申告書等を作成することができます。
できあがった確定申告書の提出方法ですが、税務署に直接持参する以外にも、国税庁のサイトで作成した確定申告書をe-TAX(電子申告)を利用して提出する方法や、印刷して郵送により提出する方法もあります。
なお、確定申告に関する不明点等は、最寄りの税務署に相談することをおすすめします。
収益物件(賃貸マンション等)
購入した時にかかる税金
詳 細
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収益不動産を購入する場合の税金
収益不動産(賃貸アパート、賃貸マンション等)でも、購入した場合には不動産取得税や登録免許税がかかることは同じです。
また、収益不動産保有し続ければ、毎年、固定資産税・都市計画税が課税されます。
ただし、収益不動産の場合には、マイホームには適用される軽減措置や特例を受けることができないなど、一部に税務上の取扱いで違いがあります。
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収益不動産の場合に違いがあるもの
不動産取得税
住宅用不動産を取得した場合のような軽減の特例は受けられません。(ただし、収益不動産を新築する場合には軽減の特例が受けられます。)
登録免許税
住宅用家屋の軽減の特例は受けられません。
固定資産税・都市計画税
一定の要件を満たせば軽減措置が受けられます。
ただし、市区町村ごとに条件が異なる場合がありますので、不動産が所在する市区町村にご確認ください。
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賃貸を開始する場合の届出書類
賃貸事業を開始した場合は、「個人事業の開廃業届出書」を事業開始から1か月以内に税務署に届け出ます。
このほか任意で「青色申告承認申請書」、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出します。

保有にかかる税金

固定資産税・都市計画税
詳 細
1
固定資産税・都市計画税とは
毎年1月1日現在の土地、家屋(家、マンション、店舗など)等の所有者に課せられる税金です。
土地や建物の価値は変動しますので(特に建物は古くなり価値が下がるため)、固定資産税評価額は3年に一回見直すことになっています。
不動産売買の際には、その年の固定資産税・都市計画税を取引日を基準にして日割りで精算します。
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税額の計算方法
固定資産税・都市計画税は、以下の計算式によって算出されます。
固定資産税 = 課税標準 × 1.4%(標準税率)
都市計画税 = 課税標準 × 0.3%(制限税率)
固定資産の「標準税率」とは地方税法に規定されている通常の税率をいいます。
都市計画税の「制限税率」とは、地方公共団体が課税する場合にこの税率を超えることはできない、つまり、最高で0.3%となります。
地方公共団体は、条例を制定して自由に税率を定めることができるため、標準税率・制限税率とは異なる税率を採用しているケースもあります。そのため、固定資産税・都市計画税の税率は、不動産の所在する地方公共団体に個別に確認する必要があります。
また、住宅や住宅用地については、課税標準や税額の軽減措置があります。
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固定資産税・都市計画税の納付方法
毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となります。
市区町村が税額を計算し、毎年4月頃に納税義務者に納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付(一括または4分割)します。固定資産税と都市計画税は一括して請求されるため、内訳を意識することはほとんどありません。
収益物件(賃貸マンション等)
賃貸する時にかかる税金
詳 細
1
収益不動産を賃貸する場合の税金
収益不動産を賃貸する場合、その賃貸料収入は不動産所得として所得税が課税されます。不動産所得のほかに給与所得などがあれば、他の所得を合算して総合課税されます。また、所得税のほかに、住民税が課税されます。
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不動産所得の計算方法
不動産所得の計算方法は、下記の計算式で算出します。
不動産所得 = ①収入金額 - ②必要経費
①収入金額とは
賃貸借契約等によって、その年の1月1日から12月31日の間に収入として確定した家賃、地代、権利金などの金額です。回収したかどうかが基準ではないので、12月31日時点で、未収の家賃があった場合でも収入金額に含みます。
収入金額に含まれるもの
家賃・地代、権利金、更新料、敷金・保証金のうち返還を要しないもの
②必要経費とは
不動産の賃貸に伴って発生した支出のうち、経費として収入金額から差し引くことができるものです。
必要経費として認められるもの
土地・建物の固定資産税・都市計画税、事業税、消費税(税込経理による場合)、収入印紙代、修繕費、損害保険料(掛け捨て)、不動産管理会社に支払う管理手数料、管理組合に支払う管理費、入居者募集のための広告宣伝費、税理士・弁護士への報酬(不動産賃貸に関するもの)、減価償却費、立退料、共用部分の水道光熱費、土地の購入・建物の建築の借入金金利(事業開始後に支払った分)など
必要経費として認められないもの
借入金の元本返済部分、事業に関連しない支出(自宅に係る経費等)、住民税、所得税
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印紙税の納付方法
印紙税は金銭で納付するのではなく、規定の収入印紙を契約書に貼り、それを消印することによって納税となります。
また、印紙税は作成した文書の数だけ課税されるため、同じ契約書を2通作成した場合には(売主と買主)、それぞれに印紙を貼らなければなりません。

売却にかかる税金

所得税①
譲渡所得について
詳 細
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譲渡所得とは
不動産の売却によって生じる所得を「譲渡所得」といいます。
譲渡所得に対しては、他の所得と分離したうえで、所得税と住民税が課税されます。不動産の売却によってプラスになった場合の課税ですので、譲渡所得がマイナスの場合には課税されることはありません。
2
譲渡所得の計算方法
不動産の譲渡所得は以下の計算式で算出します。
課税譲渡所得 = 売却価額 - (取得費+譲渡費用) - 特別控除
要するに売却代金から、その不動産の取得にかかった費用と売却にかかった費用を差し引き、残ったものが譲渡所得となります。
たとえば、不動産を5,000万円で購入し、値上がりしてきたので3年後に6,000万円で売却するような場合には、取得費や譲渡費用も分かりやすいので、算定しやすいのですが、現実はそれほど単純ではありません。
なお、譲渡所得の算定する際には、取得費と譲渡費用を差し引いたうえで、さらに一定の条件を満たせば特別控除を受けることができます。
特別控除や軽減措置については個別に説明します。
取得費
購入代金や購入時に要した仲介手数料、登記の費用など不動産の取得に要した費用をいいます。取得費が不明の場合は、売却価格の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。
また、相続等で取得した場合には、相続・贈与時の評価額ではなく、前の所有者の取得費を引き継ぐことになります。
譲渡費用
売却するために支出した費用をいい、仲介手数料、登記費用、測量費、印紙代や、建物の取壊し費用や借家人に支払った立退料などがこれにあたります。
3
長期譲渡所得と短期譲渡所得
不動産を取得してから譲渡するまでの所有期間に応じて、所有期間が5年以下の場合を「短期譲渡所得」、5年を超える場合を「長期譲渡所得」といい、それぞれ所得税・住民税の税率が異なります。
短期譲渡所得:所得税30.63%(※) 住民税9% 計 39.63%
長期譲渡所得:所得税15.315% 住民税5% 計 20.315%
(※)2013(平成25)年から2037年までは、このほかに復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課されます。
所得税②
3,000万円特別控除
詳 細
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3,000万円特別控除とは
所得税①のおさらいになりますが、不動産の譲渡所得は以下の計算式で算出します。
課税譲渡所得 = 売却価額 - (取得費+譲渡費用) - 特別控除
譲渡所得を算定する際には、取得費と譲渡費用を差し引いて、さらに特別控除として3,000万円を控除することができます。
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3,000万円特別控除の適用条件
国税庁が掲げる3,000万円特別控除の適用条件は下記のとおりです。(国税庁HPより抜粋)
①自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件全てに当てはまることが必要です。
(1) その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(2) 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
②売った年の前年及び前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
③売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。
④売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
⑤災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
⑥売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。
※特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
3
3,000万円特別控除の利用例
事例
親から相続したマイホームに8年間住み、今年、5,000万円で売却しました。
親から相続したため取得費は不明で、譲渡費用として300万円かかりました。
「3,000万円特別控除」の適用条件を満たしている場合、所得税・住民税はいくらになるでしょうか。
計算方法
まず、譲渡益を求めます
譲渡収入5,000万円 -(概算取得費5,000万円×5%+譲渡費用300万円)=譲渡益4,450万円
ここから3,000万円特別控除を適用すると
4,450万円 - 3,000万円 = 1,450万円
8年間住んでいるので、長期譲渡所得の税率が適用され
1,450万円 × 20.315% = 294万5675円(所得税・住民税)
所得税③
10年超所有軽減税率
詳 細
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10年超所有軽減税率とは
所得税①で説明したとおり、不動産の所有期間に応じて、5年以下の場合を「短期譲渡所得」、5年を超える場合を「長期譲渡所得」といい、譲渡所得に対し、それぞれ下記の税率が適用されます。
短期譲渡所得:所得税30.63%(※) 住民税9% 計 39.63%
長期譲渡所得:所得税15.315% 住民税5% 計 20.315%
10年超所有軽減税率の特例は、マイホーム(居住用財産)を売却した場合であって、所有期間が「10年」を超えていた場合には、上記の長期譲渡所得の税率(20.315%)よりもさらに低い税率(14.21%)で計算できるという特例です。
譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%
なお、所得税②で説明した3,000万円特別控除との併用は認められています。
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10年超所有軽減税率の適用条件
この軽減税率の適用を受けるには、次の5つの要件全てに当てはまることが必要です。(国税庁HPより抜粋)
①日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること。
なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
また、これらの家屋が災害により滅失した場合には、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。
(1) 取り壊された家屋及びその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
(2) その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(3) 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
②売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。
③売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと。
④売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと。ただし、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。
⑤親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
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10年超所有軽減税率の適用条件
事例
親から相続したマイホームに15年間住み、今年、5,000万円で売却しました。
親から相続したため取得費は不明で、譲渡費用として300万円かかりました。
10年超所有軽減税率の適用条件を満たしている場合、所得税・住民税はいくらになるでしょうか。
計算方法
まず、譲渡益を求めます
譲渡収入5,000万円 - (概算取得費5,000万円 × 5% + 譲渡費用300万円) = 譲渡益4,450万円
ここから3,000万円特別控除を適用すると(※3,000万円特別控除の併用可)
4,450万円 - 3,000万円 = 1,450万円
15年間住んでいるので、10年超所有軽減税率が適用され
1,450万円 × 14.21% = 206万450円(所得税・住民税)
所得税④
特定居住用財産
(買い換え特例)
詳 細
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特定居住用財産の買換え特例とは
マイホームを売った金額より、買換えたマイホームの取得金額の方が大きければ、一定の要件のもとで、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるという特例です。
なお、この特例によって税金の支払いが免除されるのではなく、あくまで課税の繰延べですので、譲渡資産に対する譲渡所得税は買換え資産(新しく買い換えたマイホーム)に引き継がれます。
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特定居住用財産の買換え特例の適用条件
この買換え特例の適用条件は下記のとおりです。(国税庁HPより抜粋)
①自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。
(1) 取り壊された家屋及びその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。
(2) その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(3) 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
②売った年、その前年及び前々年にマイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除きます。)又はマイホームを売ったときの軽減税率の特例若しくはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。また、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けないこと。
③売ったマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にあるものであること。
④売却代金が1億円以下であること。
この特例の適用を受けるマイホームと一体として利用していた部分を別途分割して売却している場合における1億円以下であるかどうかの判定は、マイホームを売却した年の前々年から翌々年までの5年間に分割して売却した部分も含めた売却代金により行います。
このため、マイホームを売却した年、その前年及びその前々年の売却代金の合計額が1億円以下であることから、この特例を受けていた場合で、マイホームを売却した年の翌年又は翌々年にこの特例の適用を受けたマイホームの残りの部分を売却して売却代金の合計額が1億円を超えた場合には、その売却の日から4ヶ月以内に修正申告書の提出と納税が必要となります。
⑤売った人の居住期間が10年以上で、かつ、売った年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること。
⑥買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること。
⑦マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること。
また、買い換えたマイホームには、取得した時期により次の期限までに住むこと。
(1) 売った年かその前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日まで
(2) 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日まで
⑧買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、又は一定の耐震基準を満たすものであること。
⑨買い換えるマイホームが、耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、又は、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること。
⑩親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
⑪買い換えるマイホームが、建築後使用されたことのない住宅である場合において、令和6年1月1日以後に入居(または入居見込み)であるときには、特定居住用家屋(※)に該当するもの以外のものであること。
(※)特定居住用家屋とは、住宅の用に供する家屋で一定の省エネ基準(断熱等性能等級4以上および一次エネルギー消費量等級4以上)を満たすもの以外のもので、次の要件のいずれにも該当しない家屋をいいます。
3
特定居住用財産の買換え特例の利用例
この買換え特例の適用条件は下記のとおりです。(国税庁HPより抜粋)
事例
4,000万円で取得したマイホームを5,000万円で売却しました。
その売却代金をもとに、7,000万円で新しいマイホームに買い換えました。
計算方法
4,000万円で取得し5,000万円で売却しているので、通常であれば1,000万円の譲渡益が課税対象となりますが、特例の適用を受けた場合、売却した年分で譲渡益への課税は行われず、「買い換えたマイホームを将来譲渡したとき」まで課税が繰り延べられます。
買い換えたマイホームを将来8,000万円で売却したとすると、「実際の譲渡益(8,000万円-7,000万円)=1,000万円)」と「特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた4,000万円の譲渡益(8,000万円-4,000万円)=4,000万円」を合計した5,000万円が譲渡益として課税されます。
所得税⑤
譲渡損が出た場合
詳 細
1
譲渡損失について
譲渡損失とは、下記の計算式において課税譲渡所得がマイナスの金額になる状態です。個人が、不動産(土地、建物)を譲渡して、譲渡損失が生じた場合には、その損失を「他の不動産の譲渡所得」から控除できます。
課税譲渡所得=売却価額-(取得費+譲渡費用)
その控除をしてもなお控除しきれない損失があった場合、事業所得や給与所得など、他の所得と損益通算することはできません。
ただし、長期譲渡所得(所有期間5年以上)に該当する場合で、居住用財産を譲渡したときに生じた譲渡損失の金額については、一定の要件を満たす場合に限り、譲渡をした年に事業所得や給与所得など他の所得との損益通算をすることができます。
さらに損益通算してもなお控除しきれない損失がある場合には、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます。
2
譲渡損失に関する特例
マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)や、住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)には、税務上の特例があります。これらの特例は専門性が高く複雑ですので、税理士や税務署に直接ご相談されることをお勧めします。
収益物件(賃貸マンション等)
売却した時にかかる税金
詳 細
1
譲渡益が出た場合
収益不動産(賃貸アパート、賃貸マンション)を売却した場合も、居住用不動産を売却した場合と同じく、譲渡所得に対して所得税・住民税が課税されます。居住用不動産でも収益不動産でも、基本的な考え方は「所得税①譲渡所得について」で解説したとおりです。
ただし、「3,000万円特別控除」、「10年超所有軽減税率」、「特定居住用財産の買換え特例」は、いずれも自己が居住していた不動産を売却した場合の特例ですので、収益不動産の売却で譲渡益が出た場合には利用できません。
2
譲渡損失に関する特例
譲渡損失が発生した場合は、居住用不動産を売却した場合と同じく、所得税・住民税は課税されません。
また、譲渡益の場合と同じく、居住用不動産を売却した場合向けの特例は利用できませんが、収益不動産を売却した場合に利用できる特例もあります。
ただし、これらの特例は専門性が高く複雑ですので、税理士や税務署に直接ご相談されることをお勧めします。
被相続人の居住用財産
(空き家)を売った時の特例
詳 細
1
概要
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。
2
特例の対象
①特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
・区分所有建物登記がされている建物でないこと。
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
なお、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定の事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋(以下「従前居住用家屋」といいます。)は被相続人居住用家屋に該当します。
②特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に存する権利をいいます。
なお、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)においてその土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、その土地の面積にその2以上の建築物の床面積の合計のうちに一の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります。
3
特例を受けるための適用要件
主な適用要件
・売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
・次の売却をしたこと。
①売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
②次の売却をしたこと。
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
・売却代金が1億円以下であること。
・売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
・同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。
・親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。
特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
・令和6年以降、譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに家屋の耐震改修又は除却工事をすること。
4
特例を受けるための手続き
この特例の適用を受けるためには、次に掲げる場合の区分に応じて、それぞれ書類を添えて確定申告をすることが必要です。
5
特別控除額の制限
相続した相続人の数が3人以上の場合は、1人あたりの控除額が3,000万円から2,000万円に減額されます。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm」をご参考ください。
事業用の資産を買い換えた時の特例
詳 細
1
概要
個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得し、その取得の日から1年以内にその買換資産を事業の用に供したときは、一定の要件のもと、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません)。
この特例を受けますと、売った金額(譲渡価額)より買い換えた金額(取得価額)の方が多いときは、売った金額に20%の割合(以下、この乗ずる割合を「課税割合」といいます。)を掛けた額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。
売った金額より買い換えた金額の方が少ないときは、その差額と買い換えた金額に課税割合を掛けた額との合計額を収入金額として譲渡所得の計算を行います。
2
特例を受けるための要件
主な適用要件
・譲渡資産と買換資産は、共に事業用のものに限られます。
・譲渡資産と買換資産とが、一定の組合せに当てはまるものであることです。
・買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の面積が、原則として譲渡した土地等の面積の5倍以内であることです。
・資産を譲渡した年か、その前年中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得することです。
・買換資産を取得した日から1年以内に事業に使うことです。
・この特例を受けようとする資産については、重ねて他の特例(優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例や減価償却資産の特別償却又は所得税額の特別控除の特例等)を適用することはできません。
・土地等の譲渡については、原則として、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えていることです。なお、令和8年3月31日までにした土地等の譲渡については、この要件が停止されています。
・譲渡資産の譲渡は、収用等、贈与、交換、出資によるもの及び代物弁済としての譲渡ではないこと、また、買換資産の取得は、贈与、交換又は一定の現物分配によるもの、所有権移転外リース取引によるもの及び代物弁済によるものではないことです。
3
譲渡所得金額の計算
この特例の適用を受けた場合の譲渡所得の金額は、原則として次の算式によって計算します(課税割合が20%の場合)。
①譲渡資産の譲渡価額 ≦ 買換資産の取得価額の場合
・譲渡資産の譲渡価額 × 0.2 = 収入金額
・(譲渡資産の取得費+譲渡費用) × 0.2 = 必要経費
・収入金額 - 必要経費 = 課税される譲渡所得の金額
②譲渡資産の譲渡価額 > 買換資産の取得価額の場
・譲渡資産の譲渡価額 - 買換資産の取得価額 × 0.8 = 収入金額
・(譲渡資産の取得費+譲渡費用) × (収入金額÷譲渡資産の譲渡価額) = 必要経費
・収入金額 - 必要経費 = 課税される譲渡所得の金額
4
申告手続き
この特例を受けるためには、次の書類を添付し確定申告をすることが必要です。
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
・買換資産の登記事項証明書などその資産の取得を証する書類
・譲渡資産及び買換資産が特例の適用要件とされる特定の地域内にあることを証する市区町村長等の証明書など
※買換資産を取得する見込みで、この特例の適用を受けた場合には、上記の登記事項証明書などは、買換資産を取得した日から4か月以内に提出しなければなりません。
※令和6年4月1日以後、譲渡資産の譲渡日又は、買い替え資産の取得日のいずれか早い日を含む3月期間の末日の翌日以後2月以内に、届出書の提出義務が有ります。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3405.htm」をご参考ください
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
詳 細
1
概要
個人が、平成21年に取得した国内にある土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」といいます。)を平成27年以降に譲渡した場合又は平成22年中に取得した土地等を平成28年以降に譲渡した場合には、その土地等に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除することができます。譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合にはその譲渡所得の金額が控除額になります。
2
特例を受けるための要件
主な適用要件
・平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得していること。
・平成21年に取得した土地等は平成27年以降に譲渡すること、また、平成22年に取得した土地等は平成28年以降に譲渡すること。
・親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地等ではないこと。
※特別な間柄には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済及び所有権移転外リース取引により取得した土地等ではないこと。
・譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例を受けないこと。
3
特例を受けるための手続
この特例を受ける旨記載した確定申告書を提出することが必要です。
また、確定申告書には次の書類を添えてください。
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
土地等の登記事項証明書や土地等を取得したときの売買契約書の写しなどで、譲渡した土地等が平成21年又は平成22年に取得されたものであることを明らかにする書類
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3225.htm」をご参考ください
海外勤務者の不動産の売却と税務
詳 細
1
不動産を売却したときの源泉徴収制度
非居住者が国内にある土地等の不動産を売却して受け取る譲渡対価は、10.21%(所得税10%、復興特別所得税0.21%)の税率で源泉徴収の対象となります。
ただし、その譲渡対価が1億円以下で、その土地等を購入した人が自己又はその親族の居住用に購入した場合は、源泉徴収されません。
2
非居住者の確定申告
不動産を売却したときの所得は譲渡所得とされ、原則として確定申告が必要です。
なお、この場合、譲渡所得の金額の計算方法は、居住者の場合と同様です。
確定申告期限は、翌年2月16日から3月15日までですが、確定申告書を提出するときまでにあらかじめ納税管理人を定め、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を非居住者の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。
この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は納税管理人あてに送付されますが、確定申告書は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して提出します。
なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1932.htm」をご参考ください

贈与にかかる税金

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
詳 細
1
概要
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
2
非課税限度額
受贈者ごとの非課税限度額は、次の表のとおり、新築等をする住宅用の家屋の種類ごとに、受贈者が最初に非課税の特例の適用を受けようとする住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日に応じた金額となります。
住宅取得等資金の贈与の非課税限度額
省エネ等住宅
その他の住宅
非課税限度額
1,000万円
500万円
2
受贈者の要件
次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
主な適用要件
・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
・贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
・贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。
・平成21年分から令和5年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます)。
・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
※受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
・贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が一時居住贈与者又は非居住贈与者である場合を除きます)。
なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
※「一時居住者」、「一時居住贈与者」及び「非居住贈与者」については、受贈者が外国に居住しているときをご覧ください。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
※贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
4
非課税の特例の適用を受けるための手続
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm」をご参考ください
相続時精算課税の選択
詳 細
1
概要
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、18歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、翌年以降贈与を受けた金額が基礎控除額以下であれば贈与税申告書を提出する必要はありません。
2
適応対象者
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫とされています。
3
税額の計算
贈与税額の計算
相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、その選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。
その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から毎年基礎控除額110万円を控除し、その後複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。
なお、相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の税率を適用し贈与税額を計算します。
相続税額の計算
相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額から基礎控除額110万円を控除した残額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。
4
適用手続き
相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子又は孫)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm」をご参考ください
贈与税の計算と税率(暦年課税)
詳 細
1
概要
贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。
2
贈与税の速算表
平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。
速算表の利用に当たっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。それにより贈与税額が分かります。
【一般贈与財産用】(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
基礎控除後の
課税価格
200万円以下
300万円以下
400万円以下
600万円以下
1,00万円以下
1,500万円以下
3,000万円以下
3,000万円超
税 率
10
15
20
30
40
45
50
55
控除額
10万円
25万円
65万円
125万円
175万円
250万円
400万円
(例) 贈与財産の価額が500万円の場合(「一般税率」を使用します。)
•基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
•贈与税額の計算 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
【特例贈与財産用】(特例税率)
この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において18歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。
基礎控除後の
課税価格
200万円以下
400万円以下
600万円以下
1,00万円以下
1,500万円以下
3,000万円以下
4,500万円以下
4,500万円超
税 率
10
15
20
30
40
45
50
55
控除額
10万円
30万円
90万円
190万円
265万円
415万円
640万円
(例) 贈与財産の価額が500万円の場合(「特例税率」を使用します。)
•基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
•贈与税額の計算 390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm」をご参考ください
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
詳 細
1
概要
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
2
特例を受けるための適用要件
主な適用要件
・夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
・配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
3
適用を受けるための手続
次の書類を添付して、贈与税の申告をすることが必要です。
財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
※金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となります。
詳しくは参照元の「国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm」をご参考ください

不動産お役立ち情報

  • 空家対策特別措置法の改正について
  • 相続登記の申請が義務化
  • 購入ガイド
    アパートやマンション、戸建てなどのマイホーム、居住用物件の購入には様々な手続きが必要になります。そこで、わかりやすく購入手順のポイントをご説明いたします。
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  • 売却ガイド
    不動産の売却は「ただ売れればいい」という単純なものではありません。その流れをきちんと理解し、売る方・買う方の双方が心から満足できる売却を目指しましょう。
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  • よくある質問
    不動産の売買における、お客様からよくお寄せいただく質問をまとめました。
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  • 提携ローンのご案内
    当社では各種金融機関における住宅ローンのお申込みが可能です。資金計画の綿密なフォローでお客様の夢を現実へと導きます。
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  • 税金豆知識
    「アパートやマンション経営が節税対策になるって本当?」知って得する税金マメ知識、ぜひご利用ください。
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  • 不動産用語集
    不動産にまつわる専門用語をわかりやすく解説します。
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  • 重要な法律・法改正
    不動産関連の知っておきたい法律・法改正。業界に大きな影響を及ぼすルールを解説します。
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  • 税制改正大網
    令和6年度の税制改正大網のポイントをまとめました。
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